「月光仮面」
寺山修司の本です。
このくだりには笑ってしまいました・・
月光仮面のおじさんは
正義の味方だ 良い人だ・・・
しかしそれがだれのためにも力を貸してくれるものではないのだ、と知ったとき疑いがはじまった。
月光仮面も少年探偵団も、ベトナム戦争のような国際的な事件には出勤できない。そこは正義と悪とが複雑に交錯し、お互いが正義を名乗りあってるので・・・
与えられた「正義」のためばかりに働いてきて、それを見極める「正義感」など、持つことができなかったのである。
「出勤」とか、「働いて・・」とか・・皮肉なのかな?
子どものヒーローものに対してこんなに真面目に論じていて・・見極める正義感がないって・・・滑稽な感じがして妙に可笑しい・・
10年越しでやっと読んだ本
10年くらい前に古書店で買って、よくわからなくて眠くなって・・そして全然読まなくなって・・
最近本棚の整理をきっかけに、今度は最後まで読みました。
あの時はわけがわからないと思って挫折したけど、時間の経過とともに見方が変わっていったのか、苦痛と感じず読めました。
面白いですね。
競馬好き
寺山修司が徹子の部屋に出演しているYouTubeを見た。(動いて喋ってるのを初めて見た。↓リンクあり)
競馬が好きで・・トータルで儲かったかどうか聞く人がよくいるけど、その質問がおかしいと・・。
例えば人生で観た演劇の中でトータルでどれだけ笑ったとか、泣いたとか考えないでしょ、と。
わざと負ける時もある・・と話していた。
わざと負ける・・
その事が本の「片目のジャック」で書かれています。
亡くなった競馬仲間の友人の弔いのために、その人が賭けていた馬に負けを承知で賭ける・・
この話はとてもいい話です。
自殺学入門
えっ、と驚くような強烈なタイトルで、イメージ的に寺山修司らしいといえばらしい。
内容を読むと、決して自殺を薦めている内容ではなくて、
死ぬ自由くらいは自分自身で創造したい・・と思うのだ
辛いことがあって死ぬのは自殺ではなく他殺だと。
上手な遺書の書き方
遺書を書く用紙についてアドバイス・・・
巻紙に筆で書くのもよいが、草書体で崩しすぎて、死んでから読み方を聞かれても答えることができないことを念頭に入れておくこと。
派手な封筒、水森亜土のイラスト入りなどは感心しない。
なんだか笑ってしまう・・。
この自殺学入門は、自分の生き方を演出する・・そんなことを思わせる話だと思いました。
タイトルが面白い
この本の小タイトルはとてもインパクトがあって、
「きみもヤクザになれる」とか「岩下志麻のシッポをみたか」とか「くたばれホームドラマ」とか「自殺のライセンス」とか・・
このタイトル見るだけでも面白い。
そして、つつましやかな生活よりも一点豪華主義を薦めている。
賭けをレジャーとしてではなく、思想としてとらえる、と。
「悪銭身につかず」というが世の中悪銭でない銭などない。・・・八百長のオートレースにでも、男を賭けてみて下さい、親父さん。
鋭い指摘がたくさんある中に、どこか滑稽さも感じ、そして愛嬌もあり、人間味もあり、クスクスとたくさん笑ってしまった本です。