富士登山 3

8合目へ

富士登山2からのつづき。

ほどよくお腹も満たされて、さあこれから8合目を目指してがんばるぞ!と飴を一つ口に入れて歩き始める。

ここがまたきつかった。

というより上に行けば行くほど勾配も急になっていくのでキツさが増す。

酸素もだんだん薄くなっていくので登山者の中には缶のような携帯できる酸素を取り出して呼吸している人もいた。

酸素は薄い、勾配はきつい、7合目から8合目はとても苦しかったのを覚えている。

(私は今日のうちに頂上へ行って下山して東京へ帰らなければならない)

今考えたらなぜ日帰りにこうもこだわっていたのか。もっと柔軟になれなかったのかと思う。

6合目で購入した杖がとても役に立っている。この杖なしには8合目まで行けなかったように思う。

こんなに苦しくて頂上まで行けるのか・・不安になった。

もう断念しようかと思いがよぎったが、せっかく早起きして来たんだし富士山来て頂上行かなかったら何の意味がある??しかも頂上すぐそこに見えてるし。

そんな風に思い直して振り絞って頑張ることにした。

杖に体重をかけながらヨレヨレになった仙人のように這って上へ行く。

あともうすぐで8合目。

周りの登山者も皆無言だった。

そしてようやく8合目到着。

倒れ込むように椅子に横になった・・少し休憩。

長椅子の上で仰向けになると空が広すぎて怖い。木や山や建物や鳥すら見えない空がこんなにも怖いというのを初めて知った。

そしてその空が少しオレンジ色になってきたのがさらに不安になった。

寒い・・。

リュックから薄手のパーカーと長袖のTシャツを着た。もうこれしか持ってなかった。

真冬のダウンジャケットくらいの厚手の上着が必要だったとこの時点で後悔した。

(早く登らないと今日のうちに下山してうちに帰らないと行けないから・・)

もし誰かと一緒に登っていたら、その日のうちに下山をすることにこんなにもこだわってなかったかも知れない。

もっと客観的で柔軟な考え方ができたかも知れないとこのブログを書きながら今更ながらそう思う。

ほんとんどの人が8合目で宿泊

8合目は宿泊もできる大きな山小屋がある。食事だけでなく、予約を入れていた登山客が大勢中に入っていった。

山小屋で売られている普通のラーメンがびっくりするような値段だったのを覚えている。

そりゃそうだ。水やら材料をこんな高いところまで持ってこないといけないわけだから。

大勢の人たちはここで泊まって夜中の2時頃からまた登り始め、頂上でご来光を見る。そんなコースの人が多いと知った。

(ゆっくりしてられない・・早く行かないと日が暮れちゃう)

変な焦りを感じ始めていた。

9合目へ

そしていよいよ9合目に向かって歩き出したのはいいが、たくさんいた登山者がチラホラと数えるほどしかいなくて急に不安が増した。

(あれ?あんなに大勢いたのになぜ?)

なぜ?という疑問はきっと8合目で泊まる予定の登山者側の方だろう。「なぜ夕方に頂上へ行くの?」と。

勾配はMAXにきつい。酸素は薄い。もはや修行。

振り絞る体力で何とか9合目に到着。

ゴツゴツとした岩ばかり。草も生えてない。視界の半分は斜めの大きな岩山とオレンジ色の空だけ。

人の会話も聞こえない。カラスの鳴き声もない。シーンとして不気味な静けさ。

9合目にも小さな山小屋があった。

ちらほらだった数少ない登山者はそこに入っていった。

そしてゆっくり休憩もしないでクタクタな体を起こし、とにかく増していく焦りからすぐに上へ向かった。

(早くしないと日が暮れる・・)

そしていよいよ頂上へ

あれ??

登る人が誰もいない。

あのちらほらと数えるほどしかいなかった登山者は9合目で夜を過ごすらしい。

頂上を目指すのはたった一人、私だけだった。

つづく

(もっとコンパクトに書くつもりが、いろいろ思い出してしまってまた続いちゃいました・・スイマセン💦)

前回の記事↓

富士登山 2

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