なんと73年前、1947年(昭和22年)公開映画。
とてもあったかくなる映画で、かなりおすすめ。
白黒映画でシンプルな物語だけど今の映画にもない(と思う)、斬新な演出に度肝を抜かれました。
時間も108分と長すぎないとこも好みです。
監督 黒澤 明
出演 (雄造)沼崎 勲
(昌子)中北千枝子
敗戦直後の東京を舞台に貧しいながらも希望をもって生きるカップルの、ある日曜日のデートを描いた作品。
戦後の日本の様子も描かれていて、親兄弟のいない住むところもないひとりぼっちの子どもが、食べ物を探しておにぎりを欲しがるあたりは涙が出た。
彼女役(昌子)が明るい
底に穴の開いた靴を履いている昌子、
「靴の穴は水が入った時に出ていくように開けてあるんだわ」
と明るい。
それに比べて彼氏の雄造は現実に悲観している。
二人で所持金35円(今でいうと3500円くらい)でデート開始。
饅頭買わせられたり、戦友だった友人に会いに行くけど物乞いと勘違いされたり、ダフ屋とケンカしたり散々な出来事ばかりで、とうとう雄造が「ふがいないよ・・」と愚痴をこぼす。
しかし昌子は雄造を励ましながらも健気についていく姿はほんとにかわいい。
こんなに明るくて素直な女性になれたらなぁ・・と自分にはない部分を持っている昌子が羨ましく思った。
しかも見た目が美人過ぎないとこがより親近感を感じます。
ラストが斬新
雄造「野良犬だよ俺は・・こんな惨めな自分が・・」
昌子「誰だって惨めだわこんな時代。あなたはいつも現代なのね、未来のことはちっとも考えない」
そしてラスト、誰もいない野外音楽堂で雄造がオーケストラの指揮のマネをする。
すると昌子が、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」と!
(んー、言いたい! ここは映画で。 ちなみにYOU TUBEで400円で観れます)
この演出には鳥肌が立ちました。
演劇では、客と一体になる演出を何度か見たことがあったけど、映画では初めて観ました。(ネタバレしたか??)
当時日本の映画館では恥ずかしがってあまり求めるような??現象は起こらなかったらしいですが、フランスで上映された時はだいぶ盛り上がったらしいです。
やっぱり国民性が出ますね。
今の日本だったら違うと思うんだけど。
これは映画館で観たい。○○したい!
思い出す言葉
この映画の昌子のあり方を見て、もと東京キッドブラザーズ演出家の東由多加の言葉を思い出す。
今に満足して生きてます、と言った女性に対し、
「それはウソでしょ。人は今よりもきっと良いことがあると信じているから生きていけるんじゃないですか」
そんな東氏の言葉をふと思い出した。
「夢や希望を持つ」
あまのじゃくな性格の自分にはこういった言葉を言うのが恥ずかしいとゆうか、ちょっと毛嫌いしてしまうとこがあるんだけど(特に○○だ○つ○的なね・・・好きな方すいません・・)
でもなりたい自分を頭においてるだけでやるべき事がわかってくる。するとだんだんそれに近づいてくる。
だから大事だね。