他人の評価

結果的によかった

自分が思っている自分と、相手が思っている自分とは差がある。

これは絵のはなし。

昨年2月、ちょうどコロナがだんだん近くに迫ってきたと感じる頃。

いろんな教室で講師もしているイラストレーターのUMさんに絵を見てもらえる機会があり、私の作品ファイルも見てもらった。

ファイルをわかりやすくするため側面に風景、人物・・というカテゴリーに分けた事務用のインデックスを貼って緊張しながら渡す。

まず作品を見る前にインデックスを見て、

「今、まだこれあるのね・・」とニヤッと笑うUMさん。

そして他の人たちに向けて、

「作品も大事だけど、印象に残るようなファイル作りも大事」と私の作品ファイルを掲げながら言う。

「あなた、つかみはOKよ」と言われた。

狙ったつもりは全くない。

ちょっと恥ずかしくなった。

インデックスを事務用のものではなく、もう少しおしゃれなタイプのものにするべきだった・・とその時後悔しつつもかえってそれが目に止まったらしい。

しかもその時描いていた絵は、映画の絵やファッション系の人物や洋服の絵が多く、オシャレ感を出していたつもりだったから余計に恥ずかしかった。

まぁ、結果的に良かったんだけど・・

ひと通り見てくれて最終的には「このままいきなさい、あなたの世界観が出てるから」とわりと評価してくれた。

嬉しかったけど、少し複雑な気持ちだった。

一昨年、雑誌の挿絵の仕事をした時、担当の編集Kさんから言われたのは「とにかくオシャレに描いてください」というオーダー。

題材が「痴漢」というテーマで、痴漢男を先入観ではなくKさんの注文通りオシャレに描いた・・・つもりだった。

何点かあるうちの1点の絵を見て、

編集のKさん:「これいい!このモテなさそうな感じが絶妙!」と言われて複雑になった。

・・・まぁ、結果的に良かったんだけど。

ここでもまた少し自尊心が傷ついた。

今その時の絵を見ると、編集の人が言っていたとおり確かにモテなさそうな男性で思わず笑ってしまった。オシャレにしているけどどこか痛い感じの。

時間が経つと見えてくるあるある。

今でもそれはよくあることで。

自分の絵の評価と、他人が見る自分の絵の評価のズレが面白い。

「他人の評価は気にしない」ということも大事だと思う。

私は、信念は持ちつつも人によってはアドバイスや指摘を素直に聞き、他人の反応や評価というものも時に指標にし、気にするのではなく楽しみたいと思う。

絵の具が余ったので、是枝監督映画「海よりもまだ深く」に出ていた真木よう子を描いてみた。