紙の月

2014年公開

角田光代 原作

監督:吉田大八

宮沢りえ 池松壮亮 小林聡美 石橋蓮司

またまた前回と同じ角田作品です。

昨年アマプラで見た作品。やっぱり面白い。

私が付いていないとこの人は・・・と思いがちな人は要注意。

(自分もそのタイプかもしれない・・)

母性本能を鷲掴みされたこの話にそわそわする。

大学生役の池松壮亮の微妙な風貌がよりリアルさを増す。

顧客役の石橋蓮司も、先輩役の小林聡美もすごくよかった。

小林聡美よかったなぁ。

小林聡美は好きな女優のひとり。

90年代に人気があった「やっぱり猫がすき」は、YOUTUBEにアップされていてたまに見る。今でも面白い。

もたいまさことのコンビは最強。

真面目な主婦からだんだん変貌していく宮沢りえもよかった。

たしかこの作品で主演女優賞とったはず。

ほんとにね・・

人を好きになるパワーってとんでもない力を発揮する。

良くも悪くも。

だから作品になるんだけれども。

人間ここまで変わってしまうってこと。

ラストは桐野夏生の「OUT」を思い出した。

(この小説もこわい話だけど面白い。だいぶ前ドラマも。)

こわいこわい。

曽根崎心中

2011年発行 リトルモア

原作 近松門左衛門

角田光代

これは面白い。

はじめから最後までずっと引き込まれた。

一駅で降りるのに本を開き、洗濯機回している間に本を開き、歯医者の待ち時間に本を開きで二日で読んだ。(私にとってはものすごく早い)

もう泣いた。

そしてこの装画もとてもいい。(悔しいなぁ 笑)

浄瑠璃や歌舞伎の演目を角田光代がどう現代の言葉で書いているのか興味があって図書館で借りてみたところ、あまりにも良くて手元に置きたいからさっきポチっと押してしまった。

この作品は私のベスト3に入る面白さ。

角田光代の凄さを改めて知った。

歌舞伎で話は知っていた。しかしこんなにも今のことばで、そして恋をした初の気持ちの描写が細かくてとても切なく、感情移入しやすく臨場感もあって、もうね・・もうーヤバかった。

(自分の語彙力のなさが情けない。しかしヤバいって便利な言葉。)

ヤバいといえば

話が少し逸れて、先日原宿で2人組の女の子が偶然見かけた友人に声をかけてた時の会話。

女子AとB:「あれ、〇〇じゃない?〇〇ーー!」(名前を呼んでる)

友人:(名前を呼ばれた方向に振り向いて)「ヤバい〜」

女子AとB:「ヤバーーーい!」(手首が振りちぎれそうなくらい手を振る)

女子AB、友人:「ヤバーーーい!ヤバい!ヤバーーーーーい!」

久しぶりに会ったらしい。感激感動の表現が「ヤバい」の一言で会話が成立している。

ちなみに美味しいも「ヤバい」。

ヤバいってほんと便利な言葉。

本来の使い方、「ヤバい、遅刻しそう」って思った時、あれ?今の子の言葉使ってる・・いやいやこれはあってる、あってるって思い直すことがある。もう本来の使い方は、なんて思う必要なくなってきてるのかもしれない。

この先、近松作品がさらに現代語に訳された時、もしかして「ヤバい」という言葉で訳される箇所があるのかもしれない。

ないことを願う。

本が届くのが楽しみ。そして届いたらまた読み返したい。

角田光代版の「源氏物語」もあったら読んでみたいなぁ。書いたらきっと面白いんだろうな。

この本は本当、おすすめです。

歩いても 歩いても

2008年公開

監督:是枝裕和

阿部寛、夏川結衣、樹木希林、原田芳雄、YOU

(アマプラ視聴)

是枝監督の作品らしく、この作品も日常のやりとりがとてもリアル。

お盆に帰省する子どもたちのために料理の支度をする母親(樹木希林)と娘(YOU)とのやりとりが面白い。

映画で作っていたとうもろこしの天ぷらがとても美味しそうで、さっそくやってみたらすっごく美味しかった。家族にも好評。

これは子どもウケにもいい。

あと豚の角煮ね。

クツクツと煮込んでいる感じが美味しそう。

かき揚げ風のとうもろこしの天ぷら

樹木希林のチョウのシーン泣けた。

命が助かった男性をお盆に呼ぶ気持ち、辛い。でもわかる。でも辛い。わかる・・・

ドラマや映画で共演の多い阿部寛と夏川結衣のコンビがこの映画でも一緒で、またまた良かった。

たまたまアマプラで見た、だいぶ前のドラマ、阿部寛主演「結婚できない男」でもこの二人がコンビで面白かった。今頃面白さを実感してるという。

私の中では、阿部寛の出ている作品にハズレがない。

夏川結衣も爽やかで落ち着いた感じでとてもいい。

タイトルの「歩いても 歩いても」がなんかね・・妙に頷く。

映画に出てくるとうもろこしの天ぷら、うなぎ、ちょうちょ、セミの声、お墓参り・・

日本の夏だなぁ。

オン・ザ・ミルキーロード

2017年日本公開

監督 エミール・クストリッツァ

出演 エミール・クストリッツァ、モニカ・ベルッチ

この作品は先日グループ展をしたフリュウギャラリーのオーナーさんから教えてもらったおすすめ監督映画。

旧ユーゴスラビア出身の監督

出身の影響があるのか、内戦が舞台。

血の溜まったバスタブにガチョウがジャブジャブ入って虫がブンブン飛び回るというカオス。

かと思えばファンタジー要素もあって感情が追いつかない。

自然の描写が美しい。

そこに戦争の残酷さも入って、何と言うか・・戦争が日常になってる生活様相。

「時計が噛みついた!」

前半の時計を直すシーンは笑った。

出てくる動物の描写がリアルでかわいい。

その動物がさりげなく主人公の味方になっているところがほっとする。

白い蝶やハチも。

ヘビがですね、いいんですよ。

さらっと残酷なシーンが出てくるからギョッとするけど、その捉え方が日常の流れのひとつのような描写でそれはそれで驚く。ハリウッド映画とは違う衝撃。

ラストシーンは忘れられないシーンとなりそう。

愛がなんだ

2019年公開

原作 角田光代

監督 今井力哉

岸井ゆきの 成田凌 深川麻衣 若葉竜也 江口のりこ

(アマプラ鑑賞)

角田光代作品にハズレがない。

小説も面白いし。

この映画面白かった。

シュールな恋愛話。

役者もみんな良かった。

それぞれのおバカっぷりが見事。

すみれ役の江口のりこのセリフ

「・・・結局自分大好き・・なの。デートしててね、お腹空いたとするじゃん。お腹空いたーって言うと、俺は空いてねぇって言うわけ。逆の時は腹減ったーって言ってこっちの話も聞かないでずんずん店に入っちゃうの」

笑った。

あるある話です。

セリフなの?アドリブ?と思わせるような今時の若い子の言葉のやりとりも面白い。(中高年には新鮮)

みんな良かったけど特に若葉竜也良かった。(この役者知らなかった)

がつんと言えない優しすぎる性格、情けない表情・・

調べたら大衆演劇出身で1歳3ヶ月で初舞台らしい。

キャリア長い。

恋は5:5にはならん。

だからややこしい。

それぞれの役柄がほんとに面白い作品。

ブラック・クランズマン

だいぶお休みしていたこのブログ。

3ヶ月ぶりにしれっと更新。体の調子が悪かったわけではありません。休んでいたのにその間このサイトに訪れてきてくれた方が意外にも多くて感謝です。これからも細々と書いていこうと思っています。

2018年公開

監督:スパイク・リー

ジョン・デヴィット・ワシントン(デンゼル・ワシントンの長男)

アダム・ドライバー

アマプラで視聴。(最近は映画館に行ってないのでもっぱらアマプラです。)

実話がもとらしい。

人種差別の話。

映画にも出てくるKKKという白人至上主義の秘密結社が今なおあるらしい。

黒人だの白人だのユダヤだの・・

調べたらWikiに出ていた。

「白人至上主義団体」とされるが、正確には北方人種を至上とし(ノルディック・イデオロギーという)、主に黒人、アジア人、近年においてはヒスパニックなどの他の人種の市民権に対し異を唱え、同様に、カトリックや、同性愛者の権利運動やフェミニズムなどに対しても反対の立場を取っている。マニフェスト・ディストニーを掲げ、プロテスタントのアングロ・サクソン(WASP)などの北方系の白人のみがアダムの子孫であり、唯一魂を持つ、神による選ばれし民として、他の人種から優先され隔離されるべきである、と主張する。

トランプが今でも支持している人が多いということは、このような考えの人が多いということ。

恐ろしい。

しかし、悲しいけど日本でもある。

自分もある??

思い出すことがある。

子どもが小学生の頃、クラスに何人か外国籍の子がいてその中に黒人のハーフの子もいた。とてもかわいい子で活発でクラスの子とよく外で遊んでいた。学校の廊下に子どもたちが描いた絵が貼り出されていて、その子の描いた家族の顔の色がみんな白かった。

友達と普通に仲良くしているように見えても、どこかで違和感を感じ、悲しい思いをしているのかもしれない思った。

なんとも言えない気持ちで苦しくなった。

そんな事をふと思い出した。

最後のシーンは監督の怒りが伝わる。

そのシーン以外は、重くならずちょっとコミカルにしてるところがいい。

しかし最後の結末、あの仕打ちは本当なの?ともう一度聞きたくなる。

世界は理不尽だらけ。

アダム・ドライバーのクールさ、とてもカッコいい。

先日の展示で出した一枚

桜が満開。

私にとっていちばん季節を感じるもの。

桜の満開を見るたびに今年も健康で桜を見る事ができたと感謝する。

おばあちゃん達が嬉しいとか感謝を感じる時、すぐに両手を合わせてスリスリする気持ちがようやくわかった。そうなるんだね・・・っていやいやまだ早い。

人生も折り返しを過ぎるとだんだんそんな気持ちになってくるんだと自分でも驚く。

当たり前の日常が実は全く当たり前ではないということがわかってくるから、ひとつひとつの出来事に感謝する。

それを気づかせてくれるもののひとつが私にとっては桜。

いろいろ思い出す。

母の後ろ姿、子どもと花びらで遊んだ頃・・

ノスタルジーに浸って少し泣けてくるという不思議な魔力をも持つ桜。

そろそろ花は散って、だんだん緑の葉っぱが出て、また散って、冬はつんつるてんになって寒さに耐えてるだけかと思いきやよく見るとちゃんと蕾が少しづつ大きくなって準備している。

コロナだろうがなんだろうが人間社会に振り回される事なくこのサイクルを淡々と繰り返す。

植物はすごいなぁなんていつも思う。

そういえば少し前、テレビで感染症専門家の北村さんが、緊急事態宣言の解除はまだ早いと。

「人はピンク色を見ると興奮するんですよ、桜を見に行っちゃうんですよ。だから解除はまだ・・・」と真剣に言っていた。

確かに。

桜の魔力に引きつけられる私たち。

今年は桜の下で大騒ぎしている人がいなかったからよけいきれいに見えた。

静かに見ている方がいい。

なんだかんだともう散る頃か・・

これがまたたまらん美しさなんだ。

花が散って緑の葉が顔を出し、自分の気持ちの切り替えも促してくる。

さぁーて!

街路樹の足元で今度はツツジが足踏みして待っている。

これも楽しみ!

ツツジの蕾がたくさん付いている公園の横に唐揚げ屋さんが出来た。

唐揚げでも買って帰ろう。

他人の評価

結果的によかった

自分が思っている自分と、相手が思っている自分とは差がある。

これは絵のはなし。

昨年2月、ちょうどコロナがだんだん近くに迫ってきたと感じる頃。

いろんな教室で講師もしているイラストレーターのUMさんに絵を見てもらえる機会があり、私の作品ファイルも見てもらった。

ファイルをわかりやすくするため側面に風景、人物・・というカテゴリーに分けた事務用のインデックスを貼って緊張しながら渡す。

まず作品を見る前にインデックスを見て、

「今、まだこれあるのね・・」とニヤッと笑うUMさん。

そして他の人たちに向けて、

「作品も大事だけど、印象に残るようなファイル作りも大事」と私の作品ファイルを掲げながら言う。

「あなた、つかみはOKよ」と言われた。

狙ったつもりは全くない。

ちょっと恥ずかしくなった。

インデックスを事務用のものではなく、もう少しおしゃれなタイプのものにするべきだった・・とその時後悔しつつもかえってそれが目に止まったらしい。

しかもその時描いていた絵は、映画の絵やファッション系の人物や洋服の絵が多く、オシャレ感を出していたつもりだったから余計に恥ずかしかった。

まぁ、結果的に良かったんだけど・・

ひと通り見てくれて最終的には「このままいきなさい、あなたの世界観が出てるから」とわりと評価してくれた。

嬉しかったけど、少し複雑な気持ちだった。

一昨年、雑誌の挿絵の仕事をした時、担当の編集Kさんから言われたのは「とにかくオシャレに描いてください」というオーダー。

題材が「痴漢」というテーマで、痴漢男を先入観ではなくKさんの注文通りオシャレに描いた・・・つもりだった。

何点かあるうちの1点の絵を見て、

編集のKさん:「これいい!このモテなさそうな感じが絶妙!」と言われて複雑になった。

・・・まぁ、結果的に良かったんだけど。

ここでもまた少し自尊心が傷ついた。

今その時の絵を見ると、編集の人が言っていたとおり確かにモテなさそうな男性で思わず笑ってしまった。オシャレにしているけどどこか痛い感じの。

時間が経つと見えてくるあるある。

今でもそれはよくあることで。

自分の絵の評価と、他人が見る自分の絵の評価のズレが面白い。

「他人の評価は気にしない」ということも大事だと思う。

私は、信念は持ちつつも人によってはアドバイスや指摘を素直に聞き、他人の反応や評価というものも時に指標にし、気にするのではなく楽しみたいと思う。

絵の具が余ったので、是枝監督映画「海よりもまだ深く」に出ていた真木よう子を描いてみた。

すばらしき世界

余った絵の具がもったいないので梅を描きました

朝のルーティーン

今朝もまた怒りました。

新聞を読んだ後はいい気分になったことがありません。

新聞だけではなくヤフーニュースやグーグルも。

政治、世界情勢、社会面の事件の数々・・・

どんより、時に怒りを感じ、不健康な朝のルーティーン。

じゃあ、見なきゃいいじゃないかって話。

しかし今起きている現実の事を知って、自分なりに考えること。それが大事だと思っていて。

だから朝はめらめらと怒ってます。

「すばらしき世界」

監督:西川美和

主演:役所広司

今公開中の映画。

いい映画でした。これはおすすめ。

役所広司がとてもいい。

長い刑務所生活を終えた主人公が、新たな生活に向けて頑張って行こうとする実話をもとにした作品。

一生懸命世の中に適応しようとする姿がとても不器用で真っ直ぐで泣けてくるし、時に笑ってしまうし。そしてあったかい。

西川美和監督の作品をいろいろ見てみたいと思う。

「蛇イチゴ」、「ゆれる」←こちらは役所広司がパンフレットでおすすめしてたので見てみたいと思う。

シネマトゥデイのYOU TUBE、西川監督のインタビューで役所広司を選んだ理由について、「役所広司さんを選ぶってずるいですよね・・でもこの作品、絶対に勝ちたいと思ったから」と。

そう、役所広司を選ぶのはずるいです。

いいに決まってるから。

でも役者の良さだけではない監督のあたたかい眼差しもなんかホッとします。

ちなみに三◯幸◯はもっとずるいです。

豪華俳優をふんだんに使う。

しかし、豪華俳優陣を並べるだけ並べてもいい作品になるとは限らないということを証明しました。(嫌いじゃないけどね)

朝は相変わらず新聞を見て怒ってますが、この作品を観た後、特に社会面を読んだ後はいつもと違った、ちょっとなんとも複雑な感情になった。

富士登山5(最終章)

富士登山4からのつづき(少し長いです)

夜の須走下山道

バイクのような車輌が通る音に向かって少しづつ、少しづつ、杖で先をツンツンしながら進む。

しばらく進むと今度は遠くの方から光がチラチラするのが見えた。

(誰か来る)

誰かが登ってくる。きっと夜から登って頂上でご来光をみる予定の人たちだった。

その光を見ただけで助かったーーと安堵。

もうこれで焦らないで大丈夫だと思った。

この安心感といったら。

そして懐中電灯を持った登山者と距離がだんだん近づいてきていよいよ至近距離になった時、その登山者が「ギャーー!」と悲鳴を上げた。

懐中電灯を照らしていた先に女の人の顔(私)が照らされたから驚いたのだ。

「人がいる!!」って言われた・・

もしかして幽霊?というような目で見られた。

そりゃそうだ。まさかこんな真っ暗な夜の富士山で懐中電灯を持たないで歩く人がいるなんて思わないだろう。

驚かすつもりはないんだけど。

続々と夜の登山者が増えてきた。

すれ違う度に悲鳴を上げられた。

だんだん増えてきた登山者たちの懐中電灯の光で足元が見えてきた。

すれ違う登山者は、私を異様な目で見ていた。

そしてなんとか助かった・・という安心感。

安心したところで足が棒のようになっているのがわる。

疲れた足を「足が棒のようになる」と表現がある。本当に棒みたいになって曲がらない・・。

あの時から何十年もたった今、足がそんな風になった経験はない。

人の多さでもうすぐ5合目だと感じる。

思うようにコントロールできない棒になった足で少しづつ進んだ。

今何時だろう・・。

やっと時計も見えてもうすぐ9時。

そんなこんなでやっと5合目。

5合目到着(なぜか御殿場)

帰りのバスもない。タクシーもない。

お土産屋も観光案内も全て閉まってる。

どうやって帰ったらいいんだろうと途方に暮れそうになった時、一軒のお土産屋のシャッターを閉めているおじさんがいた。

そこへ躊躇なく飛び込んだ。

一連の事情を話して、宿、タクシーを紹介してほしいことを伝えた。

おじさん:「昼に登って夜下山って・・・無茶苦茶な。そんな人初めて見たわ。よく怪我もしないで下山できたね・・」と穏やかに言っていたのも束の間、

「山を舐めてる!!あんたは山を舐めてる!」

怒られた。

その通り。怒られて当然でした。

そのお土産屋のおじさんから宿一覧表を見せてくれた。

その時初めて自分の場所が静岡の御殿場5合目だと知った。

あれ?山梨から登ったはずなのになぜ静岡にいるんだろう。

まぁいいや。

電話を借りて宿表の上から順番に電話をし何軒目かで予約がとれた。朝食付き一泊5千円以下だったと思う。おじさんがタクシーを呼んでくれてなんとか下山することが出来た。

ちなみに5合目まで迎車、そして御殿場の宿までタクシー代1万円くらいかかってクラクラしたのを覚えている。

宿到着(宿名も場所も覚えてない)

古びた安宿に到着し、そこの女将が私の姿を見てなんとも不審そうな顔で見られた。ものすごいドロドロの格好の若い女の人が杖持って変な時間帯に宿に来るって。変に思うのは当然だった。

女将「お風呂もお湯が少ないかもしれませんけど入ります?」

私「入ります!」

少なくなったお湯に体を平ぺったくして入った。それでもあったかくて「あ〜〜〜助かった〜〜」って初めて体の緊張が取れて心底ホッとしたのを覚えている。

怒りの電話

そして部屋からうちに怒りの電話。

「お父さん!お父さんが富士山なんて日帰りできるって言ったから登ったんだよ!そしたら大変な目に遭って・・・・」

それから何を言ったか覚えてない。とにかく怒りを父にぶつけた。

こうなったのは父のせいだ!と責任を押し付けた。

今思えば悪いのは明らかに自分。

父は無謀な登山をしたことに呆れながらとりあえず無事だったことに安心し、私の怒りに対して「俺そんなこと言ったか??俺が登った時は8合目で山小屋に泊まったぞ!」

なんだって!!

8合目で泊まったあ???

父が晩酌しながら呟いていた言葉がオーバーラップしていた。

(富士山なんて1日で登って降りて来れる・・・)

確かに父は一言も自分が登った時のことは話してない。飲んでた勢いであんな言葉が出てしまっただけ。しかしなぜあの一言を真に受けて富士山に行こうと思ったのか・・。

だから今、子どもの前ではいい加減なことは言えないなと気をつけている。

あれから何十年も経った今、まるで武勇伝を語るようにブログに書く「今」があってつくづく生かされたんだなぁ・・と思っている。

<運が良かった3点>

1.天候が良かったこと。

2.下山が砂地の多い須走下山道だったこと。(真っ暗の中、岩場の下山道はかなり危険)

3.杖があったこと。(先に何があるか、そして無いかがわかる)

もうあんな無茶なことはしないけど、リサーチもしないで思いつきですぐに行動してしまうところは今も変わってない気がする。

次の朝旅館を出て、なぜ山梨からスタートしたのに静岡にいるのか疑問に感じながら行きの中央線ではなく新幹線に乗って東京へ無事帰りました。

(1週間ほど全身が痛くてバキバキだったのを覚えています。)

そして翌年の夏、富士山から見たあの壮大な景色が忘れられなくて、性懲りもなくまた富士山へ旅立つのでした。

おわり。

(長くなってしまいました。読んでいただいてありがとうございました。)

富士登山 4