小津安二郎監督
笠智衆
東山千栄子
原節子
杉村春子
1953年に公開された映画。モノクロ。
家族の物語
この話はよくある事なのかもしれない。
広島に住んでいる高齢の両親(笠智衆、東山千栄子)が東京の子どもたちに会いに行く話。
子どもたちはせっかく上京した両親を楽しませようと計画を立てるもそれぞれの仕事と家庭に追われてなかなか付き合ってあげられない。
戦死した次男の嫁だけがとても親切で優しい。
その役をやっているのがあの伝説の女優、原節子。
この次男の嫁(原節子)がほんとに優しい。
それに比べて東京に来た両親のためにと白餡のお菓子を用意した旦那さんに妻(両親の長女 杉村春子)が、
「もったいないわよ!おせんべいでいいのよ・・」
と冷たい。
この長女役の杉村春子も面白いのです。
決して冷たいわけじゃなくて、自分の親だからっていう甘えなのかな。
原節子が43才で現役引退して伝説の女優と言われているけど、杉村春子は90才まで現役で舞台に立ち続けたすごい女優なのです。
文学座を結成し、代表作「女の一生」の舞台は900回越え。演劇界の超カリスマ女優。亡くなってから演劇界の新人賞的なもの、杉村春子賞が出来たのです。
ちなみに2019年の杉村春子賞は菅田将暉です。(←wiki情報)
嫁(他人)だから優しくできる
次男の嫁(未亡人)の方が両親に優しくできるリアルな関係が面白い。
お母さんがその嫁(原節子)に、
「息子の事は忘れて、私たちに気兼ねなくいい人がいたら嫁にいきなさい・・」
とお母さんの優しさが切ない。
母さん、そろそろ帰ろうか・・
熱海の海を眺めながら話す笠智衆がこれまたなんとも切ない。
笠智衆と東山千栄子演じる夫婦が広島なまりの素朴なセリフ回しに余計に切なくなる。
子どもが独立してそれぞれの家庭を持つと今までの家族との関係が変わってくる。今の時代でもそう。
ある程度は仕方ないのかもしれない。
遠方の両親
そういえば東日本大震災があった2011年、東京でも激しい揺れがあり直後からスーパーで買い占めがあった。
その時、遠くに住む主人の両親から段ボールに乾電池、お菓子、手軽に食べられる食品他たくさん送ってくれて涙が出た。
手紙には「乾電池はこれだけしか買えなかった、ごめんね・・」と。
もう高齢の両親。
帰省するといっぱいお世話になっちゃっているんだけど、何かあったらとちょっと心配も常にある。
このご時世で、GWの帰省もキャンセルになってしまったし。
お正月にやっと購入したというスマホの使い方を孫に教えてもらい、最近やっとラインでやりとりが出来た。
出来る限りの事を尽くしたいと思う。