「人斬り半次郎 幕末編」池波正太郎
「今にみちょれ」
貧しくて無学だった半次郎。
薩摩藩士の中でも「唐芋侍」と馬鹿にされ、それでも卑屈になることはなく、逆にそれを力にして剣の修業をするところ。
そして自分の学力の低さを素直に認め、倒幕活動の傍ら、分からない事は素直に聞き、本を読んだりして勉強をしているところ。
これは西郷隆盛を敬愛していた、中村半次郎の物語。
人斬り、という名前のついたタイトルから連想されるような残虐なイメージは全くないです。
むしろ半次郎の分け隔てなく人と接し、情に厚く、「はァイ」の返事・・チャーミングな人柄も表現されていて面白い。
歴史のことをあまりよく知らない私でも充分楽しめる小説です。
映画「半次郎」
榎木孝明が主演の映画。
榎木孝明が半次郎・・私が小説で思い描いていたイメージの半次郎はもっと泥臭い感じだったけれど、上品な雰囲気の半次郎もなかなかいい。
西郷隆盛の人柄もわかるシーン
半次郎が初めて西郷のもとへ出向いた時・・
半次郎「土産物を持ってきました・・」
西郷 「見事な唐芋じゃ・・」
半次郎「自分の畑で採れた唐芋でごわす。」
<西郷の弟がその芋を見て笑う・・>
西郷「何がおかしかか・・・この芋を作るのにどれだけの苦労があったちゅうに・・・謝れ!」
EXILEのAKIRAが永山弥一郎役
EXILEのAKIRAが薩摩藩、永山弥一郎役で出演している。
あれ?ここだけ現代?と思ってしまうオシャレ感・・・。
殺害されるシーンはAKIRAのPV?・・・一人でツッコミ入れてました。
ネタバレですが・・・
もっとツッコミたいところは最後。
西南戦争で半次郎が銃で撃たれて死んでしまうところへ突然、愛人が駆け寄り、寄り添って号泣。
こんな凄まじい戦闘中、一体どこにおったの?
もはやイリュージョン。
なかなか面白いです。(その部分はもちろん史実ではなく演出です)
Wikipediaの逸話が面白い
洒落者(しゃれもの)として有名であった。
陸軍少将時代には金無垢の懐中時計を愛用し、軍服はフランス製のオーダーメイド・軍刀の拵えも純金張の特注品を愛用し、フランス香水を付けていた。城山で戦死した際にも遺体からは香水の香りがしていたといわれている。
本当の話なら、戦闘で香水・・。
生きるか、死ぬか・・常にそんな覚悟の連続。だからこそ好きなものを身に付けるのか・・
明日はないかも知れないと思った時、私ならどうするだろう・・・。